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元川 竜平; 安中 雅彦*; 中平 隆幸*; 小泉 智
Colloids and Surfaces B; Biointerfaces, 38(3-4), p.213 - 219, 2004/11
水中において熱刺激応答性を持つN-イソプロピルアクリルアミドポリマー(PNIPA)とポリエチレングリコール(PEG)からなるジブロック共重合体を合成した。この水溶液は温度変化に応答し、ゾル,ゲル,相分離状態の三つの形態を示す。この相変化のメカニズムを理解するため、各相状態に対応した微細構造を中性子散乱により観察した。散乱実験は、原研に設置の中性子小角散乱装置SANS-J, PNOを用い、ナノからマイクロメートルに渡る空間スケールを観察した。その結果、15C以上のゾル領域においてジブロック共重合体水溶液はミクロ相分離構造を形成することが明らかになった。30C以上で形成される白濁ゲルでは、相分離界面の自由エネルギーを最小化する界面張力の効果と、凝集するPNIPA鎖の絡み合いによる粘弾性的な効果のバランスによりネットワークを作り、白濁ゲルを形成することが明らかになった。また、この中性子散乱プロファイルに対して、定量的な解析を行った結果、サイズが数ナノ程度の小さなドメインを形成していることが明らかとなった。以上のように中性子小角散乱を用いてNIPA-PEGジブロック共重合体水溶液の相挙動を、ミクロ相分離とゲル形成の相関に注目し詳細に解析を行った結果を国際MRS学術シンポジウム2003で発表する。